猪戸新地の街並み(静岡県伊東市)

伊東温泉には赤線が2箇所存在していた。

一つが戦前からの花街「猪戸新地」、もう一つが西小学校附近の「新天地」だった。


『全国女性街ガイド』によれば、「猪戸通りの左右に合法、非合法を入れ約五十軒、百五十名の私娼たち」がいたとされる。

現在の猪戸一丁目と中央町を跨ぐエリアに赤線の遺構と思しき街並みが残る。

また、戦前から花街として栄え、「芸妓屋六軒、芸妓大小合せて二十五人、料理屋四十六軒、待合十二軒」(『全国花街めぐり』)という規模だったそうだが、有名な温泉街にしては小規模に見える。

それは当時、「酌婦が勢力を張って居る地」(『全国花街めぐり』)だったためで、戦後「置屋四十八軒に百八十名」(『全国女性街ガイド』)に膨れ上がっているが、赤線に転じたかつての酌婦の転業で増えた分だろう。


伊東温泉の繁華街「キネマ通り」

その名の通り、映画館や劇場が並んでいた通りで、その裏手に「猪戸新地」があった。


キネマ通りと交わりながら伸びる中央商店街

入口に遊里に付き物の髪結い屋が建っている。


上記髪結い屋の外装は豆タイルで覆われている


「ゴールドパーマ」は今や死後だろう


中央商店街周辺の街並み

赤線はここまで広がっていたようだ。


中央商店街周辺の街並み


中央商店街周辺の街並み

温泉街の歓楽街特有の劇場が見える。


現役かどうか疑わしい様子の劇場。

最近はこの手の劇場も減ってしまっている。


劇場の看板はレトロな趣を残す。


伊東温泉の歓楽街「宵まち通り」の街並み

伊東温泉の赤線はこの辺りを中心に広がっていた。


特徴ある外観の建物が路地を挟んで並ぶ


理髪店だった建物の外観

赤線特有のファサードを残す。


3階建てだが入口が複数あり、遺構を思わせる一軒


何でもない小道に突如として現れるゲートの骨組み


ゲートの奥に建つ木造建築の玄関

欄間に富士山を象った造作が見える。

芸妓置屋か待合だったと思われるが......


現在の「宵まち通り」

飲み屋が多く密集している街並み。


訪問 2016年10月

★KENTAの写真倉庫★

東京近郊を中心に、たまに遠方に出かけたりして、下手糞な街並み写真をデジカメで撮っています。 人様にお見せするというよりは、自分の思い出のアルバムという形になっています。 (タイトル写真・内子=愛媛県)