藤沢辰巳町(神奈川県藤沢市)

藤沢駅北口から至近の旧辰巳町にはかつて遊郭が存在していた。

藤沢宿の飯盛女を一手に引き受けたものと思われるのと同時に、江ノ島詣の精進落としの場として存在したのだろう。

『全国遊郭案内』によれば「貸座敷が十軒あつて、娼妓は五十人居る」。

近年まで赤線の遺構とされる転業旅館が残っていたが、いずれも取り壊され、界隈は再開発が進行中。

唯一残る「小鳥の街」の流れを汲むとされる「飲食朋友会」もほとんど廃墟化、消滅は時間の問題だ。


藤沢駅北口を出て、銀座通りから外れた路地に入ると質屋の看板が見える。

背後に巨大マンションが控えていて、再開発の進行を目の当たりにする。


赤線当時からあったのではと思わせる質屋の外観

背後の蔵は年季がありそうだ


路地の先に緑で覆われたゲート

ゲートをくぐった先に冒頭写真の飲み屋街が現れる。


両側に並ぶ飲み屋はすべて廃墟と化している


「藤沢飲食朋友組合」の証のプレート


ゲートに向かって飲み屋街を望む。

2階の緑化が進行し、外観が分からなくなっている。


黄桜のトレードマークである河童

これは一昔前のデザインだろう。


突き当りのスナックも営業をやめてかなり経ちそうだ。


路地の先には大型マンションが我が物顔で立っている。

かつてはA歯物件と呼ばれる不良マンションがあったがすでに解体されている。


戦後は「小鳥の街」と呼ばれた色街だった。

その名残りなのか、看板に書かれたスナックの屋号が小鳥の名前になっている。



一軒だけ風俗店が残っているが命脈絶たれた感じだ。



大型マンションが建ち並ぶ藤沢辰巳町

遊廓の流れを汲む色街の残り香はいよいよかき消されつつある......


訪問 2017年7月

★KENTAの写真倉庫★

東京近郊を中心に、たまに遠方に出かけたりして、下手糞な街並み写真をデジカメで撮っています。 人様にお見せするというよりは、自分の思い出のアルバムという形になっています。 (タイトル写真・内子=愛媛県)